人口学の大家といえばフランスのエマニュエル・トッドが有名ですが、彼は世界帝国を築く民族と築けない民族の違いを、民族特有の家族観違いから説明しています。
Wikiによれば、
多民族からなる帝国を築くには平等を基本的価値として持っていなければならないとする。
ローマ帝国、イスラム帝国、唐帝国は、
それぞれ
平等主義核家族、
内婚制共同体家族、
外婚制共同体家族
の帝国であり、先験的な平等意識に支えられている。
一方、直系家族であるドイツ、日本、かつてのアテネは、どれも自民族中心主義から脱することができず、帝国を築くのに失敗している。
イングランドは大帝国を築いたが、間接統治であり、他の民族を自国に統合するものではなかった。
以上 Wikiより。
トッドは世界の家族型を8タイプに分類しています。
その内、4つの家族型を以下に記します。
Wikiより
平等主義核家族 (la famille nucléaire égalitaire)
外婚制共同体家族 (la famille communautaire exogame)
内婚制共同体家族 (la famille communautaire endogame)
直系家族 (la famille souche)
平等主義核家族、外婚性共同体家族、内婚性共同体家族の家族観を持つ民族が多民族からなる世界帝国を築いてきたのに対し、直径家族タイプの民族は、自民族中心主義から逃れられず、世界帝国建設に失敗した、と言っています。
この各民族のもつ家族観はアプリオリ(先験的)なもので、共同体の中で育つ中で自然に身につくと言っています。
日本人の政治、文化、伝統、歴史というのは、あまりにも他には見られない日本固有のものが多いです。長く、他と交わらなかった独自の文化を持つゆえに、どこか排他的な性質もあるように思います。
特に、万世一系の天皇家が治める日本の統治形態は多民族国家にはなりえない統治形態だと思いますし、天皇制の中で培われてきたあらゆる日本の文化や政治、社会も何らかの関係性を有しているように思われます。
「民族や国家により異なる家族型や家族観」によって、世界帝国を築けるのか、築けないのか、がわかるというのも面白いですね。
私は日本という国の文化・歴史は、世界を見渡しても非常に独特、希少な価値を持っていると理解していますが、トッドの言う家族型によって民族を分類することで、日本は中国などよりも、よりドイツやスウェーデン、すなわち欧州やユダヤ人とよく似ているということも理解できました。
自国日本に対する理解が少し深まったような気がします。
by 柳田
Copyright © 株式会社彩創建築設計. All Rights Reserved.