日本に古来からある、木造在来工法。
木を釘や金具でつなぐのではなく、ほぞをほぞ穴に差し込んで接続していきます。
大工さんが、ノミとかなづちを使って、0.1mm単位で削っていきます。ほぞとほぞ穴がぴったり一致しなければ、接続できません。
とても、手間がかかります。今では職人さんが高齢化でどんどん減ってしまい、さらに若い人でも成り手がいませんから、技能の継承が難しくなっています。
2014年4月14日、富山県高岡市にあるミヤワキホームを訪ねました。
ミヤワキホームは住宅建設専門の建設会社です。
ここで働いている下請けの大工さんには親子三代続くものもいるそうです。高齢化が進み、かつプレファブ工法の台頭で昔ながらの大工さんの若手入門者が少ない中、なぜ、ここは大工さんの取得に悩んでいないのでしょうか・・・。
答えは、宮脇社長にありました。
社長は、大工さんをただの下請けとは思っていません。家族と思って接しています。自分の家を造る仕事は大工さんなしにはできません。それも、人に喜んでもらえる良い家を造る為には、腕のいいまじめな大工さんが必要不可欠です。
そこで、今働いてもらってる大工さんには、これからもずっとここで働いてもらえるよう、決して大工手間賃を値切りません。「宮脇さんとこは大工手間賃を値切ったりせず自分の腕を見込んでくれ、しっかり払ってくれる」 ことが、信頼を集めているのだと思います。
技術者のように自分の腕一本で飯を食ってるような職業人にとって、値切られる、と言うのは、自分の能力を否定されているように感じ、モティベーションも下がるものです。
しかし、宮脇社長、そこは値切らない。だから、ミヤワキホームが家を造る時には一定以上の大工手間賃がかかります。なので、若干他所より高くなります。しかし、それでも良いから造って! という方だけ、家を作らせてもらいます・・・という方針だそうです。
また、大工さんの後継者問題にも自らが積極的に出て行ってます。大工さんの息子さんにぜひ父の跡を継いで、立派な大工さんになり、ぜひ一緒に家を造っていこう、と働きかけています。
家の建設現場にお客さんを呼んで現場見学会セミナーをしています。そこに、大工さんの息子さんも招待します。お客さんが大工である父の仕事ぶりをほめているのを聞けば、きっとそんな父のことがちょっと誇らしくなったりするでしょう。
若い大工さんにも、子供達を集めての夏休みセミナーに講師として参加してもらい、若い大工さんのモティベーションアップを図っています。
「相見積してまで、仕事はしない」
当社の仕事を見て、気に入ってくれて、宮脇さんところでぜひお願いします、というお客さんしか、仕事をしていない。だから、仕事はほとんどが口コミだったりお客さんからの紹介だったり。
それでも、仕事は来年まで予約で一杯だそうです。
大工さんも、社長に腕を見込まれて、お客さんにも喜ばれて、子供にも尊敬されて、がっちり賃金ももらって・・・こんなやりがいのある仕事場はなかなかないでしょう。
by 柳田
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